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Roland V-Synth GT Master Seminar





機能紹介
- Scond Half-


さて、いよいよ本文ですね。

何から行きましょうか。
新製品発表会の時もそうでしたが、機能が多すぎると結構大変です。覚える方も、書く方も(作る方はもっと大変だったでしょう)。


特徴ですが、

  • サウンドエンジンがDual coreになりました。

  • さらっと書きましたがV-Synth GT=V-Synth×2という事です(正確にはちょっと違いますが)。

  • 従来の"Elastic Audio Synthesis"(以下,「EA synthesis」)に加え,"Articulative Phrase Synthesis"(以下,「AP synthesis」)が搭載されました。
  • もちろん同時使用可能です。

  • その分、複雑になった音色エディットを強力にサポートする"Sound Shaper"が"Sound Shaper II"に!!

  • いわゆるボコーダーの進化形である"Vocal Designer"もV-synthの時より進化しました。

  • TFTカラータッチディスプレイの搭載により、より判りやすくなっています。

  • パネルレイアウトも変更されています。

  • USBホスト機能もつき、USBメモリーにバックアップする事も簡単です。


では詳細をみてみましょう。
残念なのがこの場で音をお聞かせできない事です。想像力を膨らませて、実際は店頭でお試し下さい。


Dual Core


前述の通り、端的に言うとV-synth2台分です。
倍になったのは

  • オシレーター
  • モジュレーション
  • COSM
  • エフェクト
  • Step Mod

という、シンセとしての心臓部がDualです。
コレにより、V-Synthでは


1Patch
(V-Synthシリーズにおける音の最大単位)=1Tone(V-Synthシリーズにおける音の最小単位)
だったのが

V-Synth GTでは
1Patch=2Tone
("Upper tone"と"Lower tone")になっています("Patch","Tone"の考え方は従来のRolandのシンセと同じです)。

レイヤーさせて図太い音を作るもよし、スプリットで右手と左手のコンビネーションを楽しむもよし。なんていったって1ToneがV-Synth1台分ですからね。
「レイヤーしないと音が細くて...」なんて心配は一切無用です。


Panel Layout


コレは写真を見比べていただきながらの方が判りやすいと思います。上が、V-Synth GT,下がV-synthです。クリックで拡大画像が開きます。





大きなコンセプトには変わりはなく、さらに使いやすくなっている、というのが僕の印象です。



向かって右側、V-synthの時にはノブとボタンが集中していた"Edit section"ですが、V-Synth GTもそんな感じです。ただノブの数が減り、
使用頻度の高い物が優先的に配置されている、と言った感じでしょうか。






Edit section



もちろんAP synthesysのセクションもあります。

V-Synthの時には3つだった[Structure]も5つに増えています。AP synsthesisの追加と、Vocal Designerの同時使用が可能になったので、追加されたのです。





「いや、いくら使用頻度が高い物に限った、っていっても使う時は使うし....」というEditの時を考えて、"Center section"にはディスプレイと連動した8個のノブがあります。





Center section




E1からE8と名前(?)のつけられたこの"センターノブ"(便宜上そう呼びます)のおかげでEdit時のみならず、通常演奏時にも
Edit sectrionからノブが減った事を感じさせない操作が可能です。


またCenter sectionには、テンキーとジョグダイヤル、カーソル,[DEC/-],[INC/+]が配置されています。久しくシンセには搭載されていなかったテンキーここに復活、といった感じです。
音色の決定時等にはやはりあるにこした事はありません。




さて向かって左、こちらは"Perfomance section"とでも呼ぶべきでしょうか。






Performance section





  • アサイナブルノブ,
  • アルペジエーター,
  • Time trip PAD,
  • D-Beam,
  • Patch palette

等おなじみの機能が、いっそう使いやすく配置されています。
ベンダーの上にはS1,S2というボタンが配置され、コレにも様々な機能をアサインする事が可能です。位置も考えられていて、ベンドを操作しながらでも指が届く様な配置になっています。

Vol.3につづく
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Roland V-Synth GT Master Seminar




行ってきました!!販売店向けのセミナー Roland V-Synth GTマスター研修会!!
会場はTx秋葉原駅から徒歩15分くらいの所にあるRolandのスタジオです。
電車の都合でちょっと早めに着いてしまい、会場に入ると、ラッキーな事にとても良い席を取る事ができました。 スクリーンの目の前、V-Synth GTが1人で触り放題というベストな場所です。
開始までしばらく時間があったのでHeadphoneをつけて音を聞く事しばし、
新製品発表会の時には未完成だった部分(ソフトのバグ)も無くなり(当たり前ですよね)モンスターシンセを堪能出来た貴重な時間でした。

そうこうしているうちに、セミナーが始まりましたが、今回のセミナーは大きく分けて2部構成になっていました。
前半はV-Synth GTの位置づけやRolandにおけるシンセの歴史など。
後半はV-Synth GTを実際に操作しながら、新機能、セールスポイント等をデモンンストレーションという形です。


前半
-Ideal Part-


本来なら書かなくても良い部分なのかもしれませんが、折角なのと、「興味深い」、と感じてくれる人がいる事を祈りつつ...。


V-Synth GTに興味がある方というのは、おそらくそれなりにシンセに詳しく、楽器経験がある方だと思います。
製品の性質上、「シンセかって○×△のコピーやりたいんです!!」というシンセ初心者にお勧め出来る製品ではないのかな、と感じます("Dream Theater"や"Pocupine Tree"のコピーならむしろオススメです)。
現在「シンセ」というと主に「キーボード」を指す事が多いですが、本来「キーボード(Keyborad)」というのは鍵盤楽器の総称で、アコースティックピアノや、ハープシコードも含まれる物です。
一方「シンセ」「シンセサイザー(Synthesizer)」というのは本来「合成装置」という意味(名付け親は確か故Robert Moog博士)で別に鍵盤楽器でも何でもありませんでした。
いってしまえば音源モジュールみたいな感じだったのです。コレにインターフェイスとして、「鍵盤」をつけたというのが現在の様な「シンセ」=「キーボード」という図式が出来上がってしまった一つの原因でしょう。
確かにスイッチとしての鍵盤を取り付けるのが一番楽だったに違いありません。

さて、その「シンセ」ですが、テクノロジーの進化によりどんどん機能を増していきます。
「シンセ」=「キーボード」という図式を作り出した、2つ目の原因となるのが「Sampling」と呼ばれるテクノロジーです。

このテクノロジーのおかげで
「どこにも無い音を作り出す為の合成装置」
だった「シンセ」が
「他の楽器の手軽な代用品」
という扱いを受け始める事になります。
この「サンプリング」のおかげで自宅にいながら手軽にピアノからストリングス、ブラス、ドラムの音を楽しめる様になったのです。
サンプリングが現在の音楽に及ぼした影響は計り知れませんし、僕もとてもお世話になりました。
その一方で、やはり、ノブやスライダーを動かして音を自在に作っていく「合成装置」としてのシンセには魅力を感じます。

現在、国内のシンセメーカーのラインナップには大きく3つの柱がある様に感じています。
初心者向けのエントリーシンセ:機能的な部分に制限はあるものの判りやすく、直感的な操作が可能なモデルです。
ワークステーション:シンセ+サンプラー+シーケンサーを一体にし、シームレスな操作が可能、膨大な音色を持ち、曲作り等にもってこいのモデルです。
ほんとの意味での「Synthesizer」:音を作る、という原点に立ち返るとともに、現在のテクノロジーを駆使したモデルです。
V-Synthシリーズは前述の最後のグループに入る製品です。 Rolandの製品の流れでみると、JD-800,JP-8080の、"Syntehsizer"としての血統を伝承する製品です。


Vol.2に続く


YAMAHA n12 デモンストレーションレポート!!





マイクプリアンプの試聴比較
-Comparison of HAs-


さて、今回のもうひとつのイベントです。
当店Annex RecordingにはハイエンドHA/channel stripが多数あります。
Avalon Design M2 mk II,
AMEK Channel in a Box [Pure Path],
dbx 786,
Solid State Logic XLogic Channel,
Drawmer 1960,
AVALON DESIGN VT-737sp etc.これらとn12のHAを比べてみました。
最大価格差9倍とかの中での試聴です。




試聴のソースにはドラムにしました。
他にアコギなども試したかったのですが、状況的に厳しかったのでDsのみです。
やや離れたところにMicを1本セットし、モノラルでの収録にしました。実際にHAとして使用した機材は
Avalon Design M2 mk II,
AMEK Channel in a Box [Pure Path],
Solid State Logic XLogic Channel,

そしてn12です。

すべてアナログで出力し、Apogee AD-8000で変換して、Pro Toolsに入力です。フォーマットは24bit48kHzです。


ドラムを延々叩いていてもらい、その中で1分づつくらいRecしていきました。
それをプレイバックしての試聴です。再現形式でお送りします。参考になりましたら幸いです。




筆者(以下"T"):「じゃあ、まずSSLからいきますね。」

--SSL試聴中--
A:「ふーん(-_-)」
T:「聞きなれた音ですね(-_-)...。じゃあ次、Amekいきますね。」

(念のために書いておきますが、決してSSLの音がしょぼかったのではなく、試聴1発目で他に比較できるものがなかったがゆえの2人の発言です。)


--Amek試聴中--
A:「あー、やっぱ違いますね。どちらがよいとかではなく、キャラ違うなぁ」
T:「ですねぇ。なかなかこういう機会ないから楽しいなぁ(^o^)v」
A:「僕、この音好きだなぁ。」
T:「Lo-Midが独特の音色ですよね。」
A:「うん、そうっすねー。いーなーこれ」
T:「じゃあ次、Avalonいきますね。」
--Avalon Design試聴中--

T:「おー、レンジ広い」
A:「なんか音が大きく聞こえますね。音像が近いというか...」
T:「Kickも明らかにさっきの2機種と別の音色に聞こえる...。いいなぁAvalon...。さて期待の新人n12行きますね。」
--n12試聴中--

T:「おー、負けてない。全然負けてないよ。」
A:「いーすねー」
T:「バランスいーなー!Snがちょっと前に出てきて、Kickも分離良く聞こえる」




YAMAHAのスタッフの方々も安心していました。いってしまえば完全にAwayですからね(笑)。
僕も「ラック版、でないかなぁ」と交渉していましたね。このHAにS.S.M.C.+4バンドセミパラメトリックEQがついて2ch2Uならニーズはあるのでは...

そうそう、この後SSLとAmekのコンプをつかってS.S.M.C.の"A"の状態や"E"の状態をシミュレートしていました。「ここをこうやって、こんな感じが"A"ですかねぇ」なんてなことをしばらく...。ちなみにデモンストレータの青木さんは個人的にはAmekが気に入ったようでした。

ちょっと話はそれますが、このときのwav dataをYAMAHAスタッフさんが「是非書欲しい!!」とおっしゃるので、コピーしてお渡ししたのですが、後日営業さんから「いや、あれ大好評ですよ!ありがとうございました!!」とのお礼を頂きました。同じfileがMusic Plant つくば店にもありますので、試聴ご希望の方はお気軽にお越しください(僕が不在のときもあるかもしれませんが..)。
一般的にいろいろなメーカーがそうですが、やはり各メーカーの音というのは存在している気がします。しかし今回n12から聞こえてきた音は僕が知っているYAMAHAの音ではない、別次元の音でした。おそらく皆さんが知らないYAMAHAの音がします。



簡単な締めくくり
-Very Curt Afterwords-


さあ、どうですか?
駆け足の部分もありましたが、nシリーズの魅力、少しでも伝わったでしょうか?
Music Plantつくば店でも簡単なデモが可能です!お気軽にお立ち寄りください。
HA比較の音源も試聴可能なようにしておこうと思います。

YAMAHAが作り出した
「ミュージシャンの、ミュージシャンによる、ミュージシャンための新製品nシリーズ」
是非、その耳と目で体験してみてください。













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YAMAHA n12 デモンストレーションレポート!!







Cubaseとの連携
-Combinationship with Cubase-


さて、Steinberg製品を扱っているYAMAHAですが、今まではYAMAHAのミキサーにCabase LEが付属したり、Studio Connectionsが利用できたり、とコラボっぽいものはあったのですが、良く見ると、既製の製品を組み合わせただけです。しかしnシリーズは違います。YAMAHA+Steinbergの共同開発の製品です。今見てきた部分ではあまりSteinbergとの連携、という部分はあまり見えないのですが、実はFaderの横にある3つのボタンもCubaseに手早く録音するための一つの機能ですし、そのほかにもとてもナイスな機能がたくさん用意されています。ではそれらを見ていきましょう。

DAW REMORT CONTROL


フィジカルコントローラではない、と書きましたが、実はトランスポートと簡単なトラックのコントロールは可能です。Play/Rec/Stop/FF/REWなどの基本機能に加え、マーカーの追加、ジャンプ、Loop再生等の必要最低限の機能が並びます。

トラックコントロールはトラックセレクトとRec Readyです。必要にして充分ですね。

クリックも一発で音が出せます。AUXバスとSTバスにアサインされているので、とても便利!!更にその上の"WORK MODE"。コレはよいです。DAWを用いた"ST MIX"とnシリーズを用いた"HARDWARE MIX"が一発で切り替わります。このときには各ch stripの"INPUT SELECT"のも自動的に切り替わります。SSLのStatusを切り替えたような感じでしょうか(余計にわかりづらいかもしれません(汗))。

CONTROL ROOM



ここが充実しているかどうかが、録音用ミキサーとしてひとつ重要な部分でしょう。もちろん音質も最重要なポイントなのですが、スピーカーを切り替えてミックスしたり、録音時にプレイヤーと気軽にコミュニケーションが取れる、と言ったこともとても大切でしょう。

流石にヌケはありません。

Talkbackと3つのスピーカーセレクター、DIMMERも装備しています。よいですねー。DM2000ですら、スピーカーセレクトは"Large"と"Small"の2つだけです。
しかも「何をC-R(Control Room)スピーカーへ出力するか」という"C-R SOURCE SELECT"も5種類から選べます。DAWからの出力と、n12ミックスを瞬時に切り替えることが可能です。CDデッキなどを2TR inに接続しておけばリファレンスCDとの切替も一発です。




さて長々ウンチクを書いてきましたし、まだまだ続くのですが(苦笑)、YAMAHA+Steinbergの共同開発の賜物ともいえる例を1つ挙げようと思います。


n12/n8を使用する場合と、使用しない場合、PCが立ち上がって「せーの」でセットアップを開始して、時間を計ってみたそうです。
もちろん操作する人間の慣れもあると思いますが、nシリーズ使用しない場合、およそ3分-5分かかっていたセットアップがnシリーズを使うと最短で1分を切った、という実験(?)報告もあるそうです。

実際今回のデモンストレーションでもセットアップの早いこと早いこと。「スピーカーの出力だけお願いします。」といわれ、それを準備している間(ものの数分)にn12のセットアップは完了していました。

多分慣れている人であればあるほど、新規Projectを作って、新規トラックを必要分作って、I/Oの設定をして、というのが面倒くさいと思います。僕は面倒くさいです。テンプレートを組んでおく場合もありますが、nシリーズについてくるCubase AI4にはそのnシリーズに最適化されたテンプレートが用意されています。そりゃ早いですよね。でも嬉しい機能だと思います。エンジニアや演奏家達がやりたいのはPCを操作することではなく演奏を極力良い状態で記録(=Recording)することですからね。余計な作業を短縮できるのはよいですよね。


実際に12trくらいのデモ演奏を収録したdataを用意してくれたのですが、そのラフミックスを作る状況の早いこと早いこと。Plug-inだと、「どれにしようかなぁ」から始まるのがn12だとつまみが2つしかありませんし、回すだけで様々な種類のコンプを試すことが出来るので、やはり早いです。そして、その音質。明らかにかっこよくなっています(デモンストレータの青木さんが「僕、Mute使わないんですけど、使います?」って聞いていたのが印象的でした)。
3分くらいで形になりますね。もちろんDAWとの並行使用も可能なので、内部でPlug-inを掛けてそれにS.S.M.C.を掛けるとかもありですね。内部でバスにまとめてドラムトラック全体にS.S.M.C.を掛けるとか...。かっこよい音が出来上がると思います。
以上がデモンストレーションのあらましです。


次回「HA試聴比較」へ続く


YAMAHA n12 デモンストレーションレポート!!





基本機能
-Basic Spec-




Channel Strips


まずChannel Stripを見ていきましょう。



input sction


上から"GAIN","PAD","HPF","PHASE""INPUT SELECT"が並びます。""GAIN"の後にInsert I/Oがあるのですが、ここまでがアナログ回路になります。"GAIN","PAD","HPF","PHASE"はそんなに珍しい機能ではないので省略しますが"INPUT SELECT"について、ちょっと触れておきましょう。nシリーズはマルチセンドマルチリターンのインターフェイス機能を持つミキサーである、と先ほど書きましたが、"INPUT SELECT"はこれ以降のシグナルパスに「アナログインプット(=A.IN)」の信号を流すのか、「DAW」の信号をリターンさせるのか選ぶセレクターです。どちらかをセレクトすると、もう片方はカットされます。

Sweet Spot Morphing Compressor(S.S.M.C.)


さてその下です。K's Labのテクノロジーが詰まったSweet Spot Morphing Compressor(S.S.M.C.)です。"MORPH""DRIVE"の2つのつまみから構成され、乱暴な表現をすると"MORPH"でコンプレッサーのタイプを選んで"DRIVE"で効果の深さをコントールする、という感じになります。"MORPH"というだけあってコレを回していくと、非常にスムーズにコンプレッサーのタイプが変わっていくのがわかります。A-B-C-D-Eと可変なのですが、AがLo ratio,Lo threshold,attackがやや遅めのコンプ(浅くかかっているような状態)、Eが派手で、Hi Ratio,Hi Thresholdのコンプと言った印象です。A-B-C-D-Eとだんだんキャラクタが濃くなってくる、という表現の方がしっくり来るかもしれません。"DRIVE"を回すとコンプレッサーが作動し始めます。作動している瞬間には上部の"COMP"LEDが光ります。

Musical EQ


さてその下のMusical EQです。

3バンドのMIDスイープEQで、可変幅は±18dB、100Hz-10kHzが可変です。

Hi/Lowに関しては記載がありません。カタログ,web共にです。実際につまみを回してみると、YAMAHAのほかのEQに比べて、明らかに異なった効き方をします。GAINに対してQカーブが可変とのことですが、いわゆる"Variable Q"というわけではなさそうです。普通のバリアブルQのイコライザーよりはるかにQの変化が大きく感じられます。

そのQカーブの変化の仕方ゆえ、Hi/Loは周波数が特定できないのかもしれません。ざっと聞いた印象ではLoは100Hz弱、Hiは12kHzあたりかな、という印象です。


可変幅は±18dBあるせいか強力に効きます。高域をブーストしても「ノイズが増えるだけ」ということはありません。LoをブーストしてもタイトにLoが持ち上がってきます。




Reverb


録音/ミックス時に最もなじみのあるエフェクトといえばやはりReverbでしょう。DAWのPlug-inにも様々な種類がありますが、CPU負荷が増えるのも事実です。あと、マウスでちまちま設定にないといけないとめんどくさい部分もあります。なのでnシリーズには最初から搭載してあります。オマケというには贅沢なSPXのREV-Xです。

AUX(Cue)


さてその下です。AUX出力です。
録音というのは基本的に「録音する人」と「録音される人」が存在します。もちろん同一人物であることもありますが、異なるときもあります。異なる場合に「録音する人」がベストというバランス(いわゆるモニターミックス)が「録音される人」がベストだとは限りません。そのためのAUXです。Cue sendといったほうがぴったりかもしれません。しかもノブは1つなのにステレオで出力され、L/Rのバランスはその下部にあるPANに依存します。流石ですね。

PAN


コレは特筆することはありません。普通にL/Rのバランスを決める"PAN"です。

Solo


いわゆる"Recorging Solo"です。"Mixing solo"への変更は出来ません。このあたりにYAMAHAの潔さを感じます。


ON


コレは説明不要ですね。


Fader


フィジカルコントローラになるわけではないので、モータードライブとかではないです。つまり動きません。話を聞いたときに「何で動かないの?」と思ったのですが、Faderが動くということはFaderに複数の機能を割り当てることです。それはEngineerならば瞬時に判断できるかもしれませんが、そういった経験の少ない人たちには難しいのかもしれません。ちょっと余談ですが、デジタルミキサーのアレルギーのひとつに「Faderが動くこと」というのがあるそうです。そういった「最小限の機能を極力わかりやすく」といった、デザインコンセプトをこういった部分からも感じることが出来ます。

Assign


nシリーズは4つの出力バスを持っています。"Stereo","Rec","Aux","Direct Out"です。そのうちの"Stereo","Rec"を選択するのがここのボタンです。ちなみに"Stereo","Rec"DAWに対しても出力されておりうまく使えば、group busを使用した録音のようなことも可能ですね(まぁトラックに制限がないので無理やりまとめる人も居ないと思いますが...)。
さて気になるのがその上にある"WET"です。「湿るのか?」と思った人、ちょっと違います。コレを押すことにより、そのchのみDAW Returnの音を聞くことが出来ます。

「ふーん...」とあまり感動がなさそうですが、実はこれ結構役に立つんです。SSLにだって、"READY TAPE"と"READY GROUP"がありますからね。特に録音時にとりあえずでもPlug-inをはさんでいるときに便利かもしれません。2,3コのplug-inのバイパスを押すのって、回数がかさなれば結構めんどくさいですからね。






次回に続く


YAMAHA n12 デモンストレーションレポート!!






特徴
-Brand-new Point-




Concept


前述の通りn12/n8は端的にいうとデジタルミキサー+インターフェイスという製品です。画期的なのは両者の機能が非常に有機的に絡んでいて、非常に直感的な操作が可能になっているところでしょう。DAWをMTRとして使うためのアイテムとも言えるかもしれません。デジタルミキサーというとYAMAHAのほかのシリーズを思い浮かべる方も少なくないと思いますが、見た目は完全にアナログミキサーです。ディスプレイありません。レイヤーやページを切り替える必要もありません。



もっと開発の原点の話をすると、「ミュージシャンが使うインターフェイス/ミキサー」ということが上げられると思います。開発のチーフもギタリストだとか。これと対極にあるのが、PMシリーズなどの業務用コンソールです。エンジニアが使うことを前提に細かい調整が可能になっています。nシリーズが大雑把な設定しか出来ないかというとちょっと違います。どんな設定に対してもおいしい音が出るようになっています。

Head Amplifiers


今回YAMAHAが力を注いだのが、アナログ部です。まずHAですが、0シリーズ,DMシリーズに搭載されているTransparentなHAを採用するのではなく、新たにnシリーズのために、新しいコンデンサーをELNA社と共同開発したそうです。HAというのは非常に微弱な信号を扱うので、細心の注意と、優れた設計技術、そして、高品質なパーツが必要となります。

モノラル入力チャンネルにディスクリート方式Class-Aマイクプリアンプを搭載しています。そのヘッドアンプ部には高級オーディオで使用されるインバーテッドダーリントン回路を採用。非常に音楽的な音が得られるとのこと。様々なHAとブラインドテストしてnシリーズの方がよかったとか。コレに関しては当店のHAとも比較を行いましたので、後ほど...


コレだけでも買いなのでは、と思います。

Sweet Spot Morphing Compressor(S.S.M.C.)


コンプレッサーというと皆さんのイメージはどうでしょう。つまみがたくさんあって、threshold,attack,ratio,releaseで音を整えたりするもの、という感じでしょうか。僕もそうです。
nシリーズに搭載されているSweet Spot Morphing Compressorのつまみは2つです(!)。

「K's LAB※」が、銘機と呼ばれるさまざまなコンプレッサーを研究して開発した音楽性の高いコンプレッサー回路に、新コンセプトの「Sweet Spot Morphing技術」を融合させた「Sweet Spot Morphing Compressor」を各モノラルチャンネルに搭載しています。。MORPHノブでは、A~Eの独自にチューニングされた「Sweet Spot」を軸に、それらのSweet Spot同士をつなぐつながり方にも音楽的なノウハウを凝縮!!

更に内外著名ミュージシャン、プロデューサー、エンジニアのオリジナルSweetSpot Dataのほか、多彩な音楽ジャンルや楽器に合わせてチューニングしたSweet Spot Dataがダウンロード可能です!!!

奥が深いといわれるダイナミクスエフェクトがとても身近になります。

Equalizers


ここにも「K's LAB」のテクノロジーが生かされています。「Musical EQ」という名称です。


※(K's LAB:次世代の音源の開発を目的に開設されたYAMAHAの技術開発グループ。世界初の物理モデルシンセサイザーの開発で知られる国本利文技師を中心に楽器や音響の技術要素の分野で物理モデルの研究を重ね、回路や素子レベルでのモデリングのノウハウやアルゴリズムなど、先進的なテクノロジーを開発しています。)


更に次回へ続く


YAMAHA n12 デモンストレーションレポート!!



7/23にMusic Plantつくば店でYAMAHA n12のデモンストレーションが開催されました。そのときのレポートページです。ちょっと専門的でわかりづらい部分もあるかもしれませんが、是非ご覧ください。





ちょっと長い前置き
-Little bit tedious preamble-



DAW(=Digital Audio Workstation)が浸透して久しく経ちますが、その際に聞かれる不満(?)は大体同じものでした。
「音が冷たい」
「操作がマウスになると肩がこる(←深刻!)」
音に関しては真空管の機材や、またPlug-inなどで何とかなる場合もありますが、マウス操作だけは仕方がありませんでした。
Mackie HUI,digidesign Pro Control,CM Labs Motor Mixなどのいわゆるフィジカルコントローラの発売や、デジタルミキサーの中にもフィジカルコントローラーになるものも発売され、それはHAやDYN,EQなども搭載しているのでインターフェイス代わりになるものもあります。 当店のスタジオにもYAMAHA DM2000が導入されていますが、フィジカルコントローラとしての役割を果たすようになってからはMixが2,3倍の速さで進みます。
また画面を見ることも減るので「耳で聞いてミックスする」という基本に立ち返ることも簡単に出来るので非常に重宝しています。DM2000にはCommunication機能や、Minitor selectorの機能もある(まぁ当たり前ですが)ので、やはりスタジオの中核として、非常に役立っています。
しかしDM2000は非常に高価で、個人が自宅に導入するにはちょっと無理があります。01V96ならサイズ的にもまずまずなのですが、これでもやはり30万弱です。モーターフェーダーなどを搭載していますから仕方ないのかも知れません。
またフィジカルコントローラならばよいかというと、ミックスしかやらないという方は問題ないでしょう。ところが録音を行いたい人はマイクプリはどうするのか?コミュニケーションはどうするのか?など様々な問題があります。
それらを解決する画期的な商品がn12/n8なのです。
n12/n8は端的にいうとミキサー+インターフェイスという製品です。IEEE1394aでPCと接続し、マルチセンド/マルチリターン(n12:16センド,16リターン/n8:12センド,12リターン)の回線を持っています。

さて今回YAMAHAが何に力を入れたかというとマイクプリの部分をはじめアナログ部にかなりの力を注ぎ込んだそうです。
YAMAHAのHA(マイクプリ)をいうと、PMシリーズという業務用SR/PAコンソールの音質がぱっと頭に浮かぶのですが、その音質は非常にRockです。長距離伝送しても音がへたれることなく(というかそれを見越した設計になっているようです)、しっかりFaderを1mm動かしてもその変化はきっちりわかります。
ある意味癖があり「原音忠実」とはいいがたいでしょう(伝達関数が1というのはあくまで理想値なので...)。ちょっと乱暴な表現ですが、僕個人的にはかっこよくなれば、観客に出演者のやりたいことが伝われば音質はその次でよいと思います。
また、YAMAHAのHAにはもうひとつのシリーズがあり、それは02Rなどのデジタルコンソールに搭載されています。良く「Transparent」(=透明な、透き通っている)と形容されるその音質は特に特徴がなく、非常に素直なキャラクターを持っています。逆に言うと、PMシリーズのHAのようなガッツがないのもこれまた事実でしょう。
録音に関しては確かに「原音忠実」というのは非常に重要です。しかし、逆にモノを作るがゆえに多少のキャラクタをつけたいというのは世の常です(でなければEQなどは必要ありませんね、ちょっと強引な帰結ですが(^^;))。それゆえ様々なキャラクタを持ったマイクプリアンプが発売されているのでしょう。Product Reviewにもいくつかありますが、HAは非常に重要で、マイクやEQほど派手ではないですが、そのサウンドキャラクタは最後まで残ります。YAMAHAのHAの音をEQでSSLのサウンドにしたり、NeveのHAの音をSSLのEQで再現はで再現は出来ないのです。
というわけでn12/n8の紹介です。


次回へつづく...
(C)Music Plant Blog
Music Plant
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